結膜(7)
細菌やウイルスの感染、アレルギー反応、かわき目(ドライアイ)などによっておこり、目が充血して、目やにが出る状態をいいます。
ここではアレルギーによる結膜炎と、ウイルスによる結膜炎を紹介します。
①アレルギー性結膜炎・花粉症
【原因】
空気中の物質に対するアレルギー反応です。アレルギーの原因となる物質には、花粉、ハウスダスト(ダニなど)、カビ(真菌)、薬品類、化粧品、動物の毛などがあります。
【症状】
両目のかゆみがおこります。白目の充血や、涙が出たり、白いめやに、白目がぶよぶよする(結膜浮腫)症状があります。花粉などのアレルギーでは目の症状の他に、鼻水、くしゃみを伴うこともあります。
【治療】
抗アレルギー薬やステロイド薬点眼、ときに血管収縮薬を用います。症状が強い場合には飲み薬を併用することもあります。
②春季カタル(しゅんき)
アレルギー性結膜炎の中で慢性的な重症のものをいいます。
学童期~思春期の男子の多く、気管支喘息やアトピー性皮膚炎をなども伴うことがあります。春から秋にかけて症状は悪化します。
【症状】
両眼のかゆみのほか、粘った、糸を引くような目やにが出ます。
上まぶたの裏側に、多数の大きな石垣状の隆起ができます。角膜障害を伴うことが多く、悪化すると角膜混濁、潰瘍もみられます。
【治療】
抗アレルギー薬やステロイド薬点眼を用います。
③流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくまくえん)
まぶたが内側に向いているために、まつ毛も眼球側に向いてしまう病気です。
多く見られるのは高齢者の下まぶたに多い「老人性内反」です。これは、まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)の収縮によって起きたり、眼瞼構造の弛緩が主な原因で、まぶた全体が眼球側に向いてしまうものです。
【症状】
まつげが眼球に当たって、角膜を刺激するので、「流涙、まぶしい、目ヤニが出る、ゴロゴロする」などの症状が現われます。さらに角膜が傷つくと痛みや視力障害が起こり、場合によっては細菌が感染して、角膜潰瘍を起こすこともあります。
【治療】
痛みも強いために、手術が必要です。手術には、まぶたを切開して瞼板に縫いつける方法もありますが、眼輪筋そのものを切除したり、縫い縮める方法を用いる場合もあります。
はやり目の予防対策として・・・
・集団感染を予防するため、医師の許可が出るまでは学校、仕事を休む。
・手を流水や石鹸でよく洗う。
・目は触らないようにする。
・タオルは家族と別々にする。
・器物は煮沸可能であれば煮沸消毒をする。
などに気をつけてください。
④咽頭結膜熱(プール熱)(いんとうけつまくねつ)
アデノウイルス(3、4、7型など)の感染が原因となっておこります。子供に多く、プールを介して伝染し、発熱があることからプール熱とも呼ばれています。
【症状】
感染してから5~6日で結膜炎を発症し、発熱、のどの痛み、耳前リンパ節の腫れなどの症状があります。目の症状は流行性角結膜に似ていますが比較的軽く、1~2週間で自然に治ります」。
【治療】
流行性角結膜炎に準じます。
⑤出血性結膜炎(しゅっけつせいけつまくえん)
エンテロウイルス70、コクサッキーA24ウイルスの感染によりおこります。流行性角結膜炎と同様に、強い感染力をもちます。
【症状】
感染して約1日で急に発症し、流行性角結膜炎と同様の症状とともに、結膜下出血が見られるのが特徴です。角膜にも症状がみられることもあります。
【治療】
流行性角結膜炎に準じます。
⑥翼状片(よくじょうへん)
主に鼻側結膜(白目)が角膜(黒目)に向かい三角形に伸びていく病気です。原因は不明ですが。屋外で働く人に多いことから、紫外線など外界の刺激によるものも考えられています。
【症状】
症状が軽いうちは、鼻側結膜が充血してみえます。大きくなると乱視のもとになり、瞳孔までかかると視力障害をおこします。
【治療】
大きくなったり、視力障害をおこすようであれば、手術に切除します。しかし、手術後に再発しやすいといわれています。
⑦結膜下出血(けつまくかしゅっけつ)
【症状】
結膜の血管が破れて出血したもので、白目の一部または広い範囲が赤くなります。
【原因】
外傷、血液の病気、高血圧、頭部の急激なうっ血状態などによってもおこりますが、特別な原因がなくてもおこることがあります。
【治療】
数日で自然に吸収されるため治療を必要としませんが、点眼薬を用いることもあります。