眼の病気・基礎知識

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視神経(3)

①視神経炎(ししんけいえん)

視神経炎には真の視神経の炎症ばかりでなく、多発性硬化症などの脱髄疾患や、全身性感染症(ウィルス性・細菌性)、栄養・新陳代謝障害、自己免疫などがある。また、メチルアルコール、エタンブトールなどの中毒による病変や、眼球や眼窩の炎症、副鼻腔や脳などの隣接組織の炎症が視神経に波及しておこることもあります。
 

【症状】

視力障害と視野欠損が特徴的で、視力障害は高度なものでは光の感覚さえ消失することがあります。
視野欠損は中心暗点や盲中心暗点、半盲性暗点を認めます。その他の症状としては、瞳孔が大きくなり、対光反射が消失したり、眼球運動に際して眼球深部の痛みを訴えたり、色覚異常もきたします。
 

【診断】

眼底検査では、病巣の部位によって、視神経乳頭の発赤や腫脹、静脈の怒張や蛇行がみられるものから、視神経乳頭にはまったく異常を認めないものまで、さまざまです。視覚誘発電位検査では電位の減弱や消失がみら、中心フリッカー値は低下します。
 

【治療】

内科、脳神経外科および耳鼻咽喉科的検索などで原因がみつかれば、その治療をします。原因不明の場合は、副腎皮質ステロイド薬の投与を行ないます。全身管理のために、入院が必要となります。また、ビタミン製剤や血管拡張薬などを併用することもあります。一時的に視力障害が高度であっても、治療により視力が回復し、多くの場合、予後は良好です。しかし、再発をくり返したり重症の場合には、視力が十分に回復しないこともあります。

②うっ血乳頭(うっけつにゅうとう)

網膜が網膜色素上皮からはがれてしまう状態です。原因によって裂孔原性網膜剥離と非裂孔原性網膜剥離に分けられます。
 

【原因】

裂孔原性網膜剥離は網膜裂孔を通って硝子体のほうから網膜の裏側に液体が回り込み網膜がはがれるものです。網膜裂孔の原因は加齢、強度近視、外傷などです。続発性網膜剥離はほかの眼疾患が原因となって生じるものでぶどう膜炎、眼内腫瘍、糖尿病網膜症などでおこります。網膜下に滲出物がたまった時におこります。また、増殖性網膜症では、網膜が前方にひっぱられて網膜がはがれます。
 

【症状】

網膜は映像を映し出すのに重要な役割をします。そのために網膜が剥がれると視力や視野に障害が起こってきます。網膜が全剥離すると全く見えなくなってしまいます。そのまま放置しておくとほとんどの場合が失明にいたります。
 

【治療】

網膜剥離は一刻も早く手術が必要です。網膜剥離に対しては電気凝固[ジアテルミー凝固]、冷凍凝固、レーザー光凝固、硝子体手術などが行なわれます。また、非裂孔原生網膜剥離にたいしては原因疾患に対する治療も大切です。
網膜が剥がれても痛みはありません。黒い影が急激に増えて見える、光が見える、視野の一部が欠けるなどの症状がある場合には直ちに眼科を受診しましょう。

③視神経萎縮(ししんけいいしゅく)

視神経萎縮は、視神経の外傷、炎症、変性疾患、腫瘍など視神経の病変のみでなく、周囲組織から視神経への圧迫、視神経の血管病変、網膜疾患および緑内障などにより、視神経線維の変性萎縮と、その機能が消失した状態です。
 

【症状】

自覚症状として、視力障害や視野欠損がありますが、その程度は、原因となる疾患によってさまざまです。
 

【診断】

眼科的には、眼底検査で、視神経乳頭の色が、黄白色になっていたり、視覚誘発電位検査や蛍光眼底検査などの検索により診断されます。また、脳神経外科的な検索も行なわれます。
 

【治療】

原因が分かっている場合には、その原疾患に対する治療を行ないます。副腎皮質ステロイド薬やビタミン製剤などの投与を行なうこともありますが、その効果は不明です。一度、視神経萎縮が進行してしまうと、視神経はもとに戻らず、視力や視野障害の回復は困難です。

眼の病気・基礎知識


眼についての病気・基礎知識は、眼球の構造と役割、主な眼の病気、で構成されています。
 
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