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涙(なみだ)


1.ドライアイ

ドライアイは涙の量が少なかったり、涙の質に変化が起きて眼の表面の潤いが保てなくなった状態です。
 
涙の主成分は水ですが、涙は「ムチン層」「水」「油層」の3構造(下図参照)から成り立っている薄い膜として、角膜の表面を覆って眼を守っています。
 
「ムチン層」のムチンは、のりの様な成分で、目の表面から水が重力で流れ落ちるのを防いでいます。また、「油層」の油分は水の蒸発を防ぐ役目を持っています。

涙には、乾燥を防ぐだけでなく、細菌やウイルスを殺したり、ゴミなどの異物を流したり、目の表面に栄養を補給したりする重要な役割があります。
涙は、年をとるにつれ少しずつ減っていきます。しかし、涙が十分に分泌されていても部屋が乾燥していたり、瞬きが減ったりすると、ドライアイになりやすいので注意が必要です。
 

■ 治療

 
 ① 点眼
 ② 防護眼鏡
 ③ 涙点プラグ挿入術

涙点の位置 涙点プラグ挿入後

 
まず、人工涙液の点眼で自覚症状が軽快しない場合や、目の表面の傷が改善しない場合に、次なる選択肢となるのが涙点プラグ挿入術です。人工涙液では補うことができない、タンパク質やビタミンなどの重要な成分を涙は含んでいます。栄養を含んだ自分の涙で目を潤す点で優れた治療法といえます。
 
涙点プラグの挿入は、涙の流出口に栓をして涙を目の表面にためる方法です。診察室にて、ペンのような専用の器具を用い、涙点にワンタッチで簡単に挿入できます。痛みはなく、3分~5分程で終了します。
 
涙点は、上・下涙点と二つありますが、ドライアイの症状にあわせて上・下のどちらか片方だけに挿入する場合もあります。涙点プラグは一度挿入しても外れてしまうことがあります。
 

 

※ ご注意

 
涙点を塞いでしまうということは、目から出る老廃物が目の表面に溜まることがあります。この為、“めやに”や“かゆみ”が起こることがあります。この場合は人工涙液で老廃物を洗い流したり、抗生物質、抗アレルギー剤の点眼を要することもあります。
 
通常、プラグによる違和感はあまりないのですが、プラグの頭が目の表面に触れ、角膜や結膜を傷つける場合があります。違和感は時間とともに慣れる場合がほとんどですが、そうでない場合は、サイズを変更します。
 
③ 涙点閉鎖術
※手術日は毎週水曜日の午後となります。診察後、予約をお取りします。
  
点眼・防護眼鏡・涙点プラグ等の治療で満足な結果が得られない場合に効果が期待できる治療法として、涙点閉鎖術があります。
 

■ 涙点を縫って閉じてしまう縫合術

 
涙点及び涙小管(涙を鼻の方へ流す管)を焼き固めて閉じてしまう焼均法

これらはいずれも一時的ではなく、半永久的な効果を狙っています。この手術によって涙が鼻の奥へと流れていかなくなる為、目の表面に涙を留めておけるので目を乾きから防ぐ事が期待出来ます。ドライアイでお困りの方、眼科を受診して、それぞれの症状に応じた最良の治療法を当院で見つけてみませんか?

2.流涙(りゅうるい)

瞼の鼻側の目頭のところに上下に開いた穴を涙点(るいてん)といい、涙の排水口です。
 
涙は、眼の保護のために上眼瞼の外側部にある涙腺(るいせん)でつくられていて、瞬きのたびに眼の表面に運ばれ、瞼の鼻側の上下にある涙点(るいてん)から鼻の奥へ流れていきます。
 

 
この涙点及び涙が鼻へ流れる際の道である鼻涙管(びるいかん)が鼻粘膜の肥厚等の理由で狭窄(きょうさく;狭くなること)、閉塞(へいそく;閉じてしまうこと)した場合に流涙症(りゅうるいしょう)になります。
 

 涙嚢(るいのう)洗浄(涙洗)

特に予約は必要ございません。診察の時に行います。 ※小児(乳幼児)の場合は予約になる場合がございます。
 
[目的]
涙道の通過障害の有無、涙嚢(るいのう)内の膿(うみ)の排出、薬剤注入
 
[方法]
● 小児(乳幼児)の場合
 ベッドに仰向け → 点眼麻酔 → 注射器に洗浄針をつける → 涙点より洗浄(生食+抗生物質入)
 
● 成人の場合
 診察室で座った状態 → 点眼麻酔 → 注射器に洗浄針をつける → 涙点より洗浄(生食+抗生物質入)
 
※喉に洗浄液がくれば正常です。飲んでも害はありません。